今回はExchange Onlineの階層型アドレス帳の設定及び表示方法を検証してみました。

階層型アドレス帳とは、
会社の組織階層(部署等)に沿ってユーザーを検索出来るように、ツリー型で表示されるアドレス帳のことです
この階層型アドレス帳は初期設定では表示されておりません。
設定・表示するためにはPowershellでの操作が必須となります。

階層型アドレス帳を設定する手順は大きく3つとなります。

1. 組織階層に応じた配布リストを作成・設定する

2. Powershellコマンドで階層型アドレス帳の設定を実施する

3. Powershellコマンドでアドレス帳の表記順を入れ替える
 ※任意設定項目です



<参考サイト>
階層型アドレス帳

ネットワーク内の階層型アドレス帳を有効または無効

階層型アドレス帳の作成方法、解除方法



1. 組織階層に応じた配布リストを作成・設定する

まずは表示したい組織階層に応じた配布リストを作成・設定をします。
ここでは以下のようなイメージで組織階層(部署)を作成しました。
<イメージ>
10-組織階層イメージ図
※配布リストの詳しい作成(設定)方法についてはここでは省略します。

作成した配布リストとそれぞれのメンバーはこのような感じになりました。
11-配布リスト

12-配布リスト-メンバー状況

13-配布リスト-メンバー状況

14-配布リスト-メンバー状況

15-配布リスト-メンバー状況

今回は「TEST.Corp」を頂点として組織階層を設定したいので、直下に位置する「TEST営業部」をメンバーに設定します。
また「TEST営業部」の下に位置する「TEST営業第一課」と「TEST営業第二課」をそれぞれメンバーに設定します。
当然ですが、合わせて各ユーザーについても組織情報の通りに配布リストのメンバーに設定します。

以上で配布リストの設定については完了です。
※参考サイト上では本手順もPowershellコマンドで実施する例が出ていますが、Exchange管理センター(GUI)で設定しても問題ありません。



2. Powershellコマンドで階層型アドレス帳の設定を実施する

次にPowershellコマンドで階層型アドレス帳を有効化し、設定していきます。
主に使用するコマンドは「Set-OrganizationConfig」と「Set-Group」となります。
<コマンド例>
#組織階層のトップ(ルート)となる配布リストを指定する ※ルートを指定することで階層型アドレス帳が有効化する
Set-OrganizationConfig -HierarchicalAddressBookRoot "TEST.Corp"

#指定の配布リストを階層型アドレス帳に表示する
Set-Group -Identity "TEST.Corp" -IsHierarchicalGroup $true
Set-Group -Identity "TEST営業部" -IsHierarchicalGroup $true
Set-Group -Identity "TEST営業第一課" -IsHierarchicalGroup $true
Set-Group -Identity "TEST営業第二課" -IsHierarchicalGroup $true

#階層型アドレス帳に表示される配布リスト(グループ)の確認
Get-Group | ft Name,IsHierarchicalGroup

<コマンド使用例>
00-コマンド例

設定が完了したので実際にアドレス帳を確認してみます。
現状、階層型アドレス帳はOutlookクライアントでのみ使用することが可能のようです。
設定をすぐに反映したい場合にはOutlookプロファイルの再作成、または exchange キャッシュモードの解除をする必要があるようです。
今回は検証環境なので、Outlookプロファイルを再作成した上でキャッシュモードを無効化して試してみました。
⇒すぐに反映されました(^o^)

<通常のアドレス帳>
01-通常のアドレス帳

<階層型アドレス帳設定後のアドレス帳>
02-階層型アドレス帳

03-階層型アドレス帳

04-階層型アドレス帳

階層型アドレス帳設定(有効化)後は「名前一覧」タブの横に「組織」タブが表示されることが確認出来ます。
また、設定した通りにアドレス帳が表記されていることが確認出来ます!!

階層型アドレス帳の設定自体はこれで完了です。
次の手順はアドレス帳の表記順を任意で入れ替えるPowershellコマンドになりますので、任意実施となります。



3. Powershellコマンドでアドレス帳の表記順を入れ替える

最後に階層型アドレス帳に表示される順序を入れ替えるコマンドとなります。
主に使用するコマンドは「Set-User」と「Set-Group」となります。
<コマンド例>
#ユーザーの表示順を設定するコマンド ※「SeniorityIndex」が大きい順に表示される
Set-Group -Identity "TEST ユーザー03" -SeniorityIndex 100
Set-Group -Identity "TEST ユーザー06" -SeniorityIndex 80
Set-Group -Identity "TEST ユーザー05" -SeniorityIndex 50

#配布リストの表示順を設定するコマンド ※「SeniorityIndex」が大きい順に表示される

Set-Group -Identity "TEST営業第二課" -SeniorityIndex 80
Set-Group -Identity "TEST営業第一課" -SeniorityIndex 50

※2021/10/06追記
 「SeniorityIndex」について深堀り検証したものがありますので、ご参考までに
 [Exchange Online]階層型アドレス帳の検証② 〜SeniorityIndexについて〜


<コマンド使用例>
07-順番入れ替えコマンド2

<表示順の設定前後の比較>
16-ユーザー表示順比較
※TESTユーザー05と06の表示が入れ替わっていることが確認出来ます。

17-配布リスト表示順比較
※TEST営業第一課と第二課の表示が入れ替わっていることが確認出来ます。

アドレス帳の表記順を入れ替えるコマンドについてもこれで完了です。



今回の検証もこんなところで終わりたいと思いますっ( ´ー`)フゥー...
階層型アドレス帳については初めて検証してみましたが、思ったより簡単に設定出来ました!
ですが、人事異動の度にメンテナンスが必要と考えると管理者の負担は大きくなりそうなので、使用するかどうかは悩みそうな印象を受けました・・・(^_^;)
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